自営業と会社員とでは将来に受け取れる年金額に差があることをご存知ですか?
実は、自営業の方は、サラリーマンなどの会社員の方と比べると、未来に受け取ることができる公的な年金の額が少ないんです。
自営業だからこそ、自分でしっかり学ばない限り誰も教えてくれません!
さっそく、自営業だから知っておきたい年金のことについてみていきましょう。
■自営業の方と会社員との年金制度の違い
◎自営業と会社員との年金制度の違い
自営業と会社員とでは、どうして年金の受取額の差が出てしまうのでしょうか?
まずは、自営業の方の年金制度と会社員の年金制度を比較しながら、自営業の方が知っておくべき年金に関する基礎知識を詳しく解説していきます。
日本の公的な年金制度は、大きく分けて2つあります。
①国民年金制度
②厚生年金制度
①国民年金制度とは?
国民年金制度は「日本国内に居住している20歳以上60歳未満の人」すべての人が「国民年金の被保険者(加入者)」=「国民年金保険料を支払わなくてはならない人」となります。
これは、自営業の方はもちろん、サラリーマンなどの会社員、一般に専業主婦と呼ばれる会社などに属していない女性、大学生など立場や所属に関係なく、加入しなければならないことが法律として定められているのが特徴です。
②厚生年金制度とは?
厚生年金は、「厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務するすべての人」が加入する年金制度です。
つまり、サラリーマンなどの会社員である「被雇用者」となる方が加入することが定められている年金制度です。
ここでポイントとなるのは、自営業の方は、国民年金制度のみの加入が必要で、厚生年金の保険料は支払う必要がないという点です。
しかし、自営業の方が支払わない「厚生年金」の分が、将来に受け取れる「年金額の差」につながってしまうのです。
<参考> 公務員や私立学校の教職員は「共済年金」に加入します。
■自営業の方が年金を払わないとどうなる?怖い3つのデメリット
今の日本の年金制度では、将来、まともな年金額を受け取れないかもしれないといった情報を耳にすると、高い国民年金なんて、わざわざ支払わない方が得なのではないかとふと考えてしまうこともあるかもしれません。
しかし、自営業の方が加入する国民年金を支払わないと、主に以下のような3つの怖いデメリットが生じてしまいます。
①年金機構による財産の差し押さえ
まさかと思うかもしれませんが、年金機構による督促などに応じない場合、財産の差し押さえを行うということは年金機構のホームページにも記載されています。
4.滞納処分の流れ
納付督励によって、完納の見込が立たない場合には、財産調査を行い、必要に応じ滞納処分(差押え・換価)を行います。なお、滞納額が高額で悪質な滞納事業所については、国税庁に徴収を委任する仕組みがあります。
(日本年金機構ホームページより)
財産の差し押さえなどにあうと、仕事への信頼を失うことになり、事業や顧客への影響は免れられません。
②年金を老後に受け取ることができない
老後に受け取れる年金(老齢年金)は、自分が支払ってきた期間や納付額などによって決まります。
支払わない期間が長ければ長いほど、将来に受け取れる年金額が少なくなってしまうのです。さらに、老齢年金を受け取るためには、最低限必要とされる加入期間が10年と定められています。つまり加入期間(=支払い期間)が、10年に満たない場合は、年金を受け取れないことになってしまいます。
ちなみに、2017年(平成29年)までは、年金をもらうには、国民年金の最低加入期間が25年でしたが、現在はそれが10年間に短くなっています。
若い頃に支払えず、今さら年金はもらえないと諦めていた方も、10年の加入期間が可能な場合は、いますぐ支払いの手続きを行い、将来の年金を手にしましょう。
③遺族年金・障害年金を受け取れない
自分に万が一のことが起こった際、家族の生活を支えてくれるのが「遺族年金」です。
配偶者と子供がいる場合は配偶者に、子供だけのときは子供に遺族基礎年金が支払われます。
また、自分がケガや病気によって、仕事などが難しくなった際に支払われるのが「障害年金」です。老後になってからではなく、現役世代も含めて受け取ることができる年金です。
これらの公的な年金も、国民年金に加入していないと受け取ることができません。まさか自分には起きるはずはないと思いたいものですが、もしものために、国民年金の加入は必要でしょう。
■自営業の年金制度のポイント
【自営業の方と会社員の方の年金制度の違い・ポイント】
●自営業…国民年金保険料の支払いだけで済むが、その分老後の受け取れる年金額が少ない
●会社員…国民年金・厚生年金の2種類の保険料を支払う必要があるが、自営業と比べると老後に受け取れる金額が多い
●国民年金を払わないと…財産の差し押さえ、老齢年金だけでなく、遺族年金や障害年金がもらえない可能性も…。
将来の年金の受取額が少ない自営業の方は、老後に備えて、特にしっかり準備をしておく必要があります。
「自営業の年金を徹底解説|国民年金払わないとどうなる?将来の年金を増やす法(後編)」では、未来の年金額を上手に増やす方法やどうしても支払えない時の対策について解説ます。