個人事業主の経費のやりくりは、経営を左右する大切な業務の一つです。個人事業主が事業で使う車を購入する時、その車の購入代金は経費で落とせるのでしょうか。
車の購入代が経費になるのか、その際に気をつけたい注意点、プライベートと共有する際の家事按分、減価償却について解説します。
【目次】
1)個人事業主の経費=業務上の必要経費|違法な場合、追加で課税も
2)車の購入代金は個人事業主の経費で落ちるのか?
3)車の購入代とともに車関連で認められる経費
4)車の購入代金を経費で落とすためのテクニックと注意点
5)車を事業とプライベートの両方で使用するなら家事関連費として按分
6)車の購入代の経費としての計算例・減価償却について
7)運転ノートは面倒だが個人事業主に必須事項
1)個人事業主の経費=業務上の必要経費|違法な場合、追加で課税も
個人事業主の経費とは、「事業を行う上で必要とされる費用」のことをいいます。
【個人事業主の経費の代表例】
●材料費や仕入れ費用
●事務所の家賃代
●事務所の水道光熱費
●事務所の電話通信費
●事業で使った交通費 など
ここまでは誰でも分かるのですが、悩むのはプライベートとの区別が付きにくい車の購入費についてです。
事業にかかわる経費は、あくまで必要なコストとして認められているので、確定申告の際に申告することで、収入から差し引くことができます。そのため、節税につながる嬉しい制度です。
ただし、経費にならないものを経費にした場合は「申告漏れ」として後から「延滞金」とともに税金が課税されます。
故意に経費につくろった場合は「所得隠し」となり、とても高い税率の「重加算税」かかせられるので、安易な経費計上はNG!プライベートとの境目が曖昧な車の購入費について、確認していきましょう。
2)「車の購入代金」は個人事業主の経費で落ちるのか?
結論からいうと、「車の購入代金」は、経費として認められます。ただし以下のように、その車を事業で使する必要性がある場合に限られます。
【購入した車を事業で使している例】
①購入した車で、事業に必要な品物を運んでいる(車でなくては運べない物)
②購入した車で、ほぼ毎日、仕事現場に通っている(車でなくては通えない環境にいる)
③移動が多く、購入した車がなくては、円滑に仕事が行えない など
3)車の購入代とともに車関連で認められる経費
車の購入代だけでなく、車関連で認められる主な経費は以下の通りです。
●事業で使う車の購入代金
●通勤や業務に使うガソリン代
●事業で使う車の駐車場代
●事業で使う車の自動車税
●事業で使う車の整備代・車検代、任意保険代 など
ただし、これらの費用がなんでも認められるというわけではありません。
個人事業主が業務に使用する車の購入代金やガソリン代を経費として落とす際の注意点を確認していきましょう。
4)車の購入代金を経費で落とすためのテクニックと注意点
税務による納税調査というは法人、個人事業主ともに、その割合は全体の事業者数に対して5%以下というデータもありますが、筆者の知人にも抜き打ちで調査依頼が入るなど実際に起こることです。
そのような税務調査が来た時に「その車を事業で使っている証拠」が出せることが重要です。証拠をどう示すべきなのか?そのテクニックと注意点をみていきましょう。
【車の購入代金を経費で落とすためのテクニックと注意点】
車の購入代金を経費で落とすためには、「運転ノート」を作り、そこに事業で使用していることを証明する内容を詳細に記載して、記録に残すということをおすすめします。
① 業務内容(建設業、塗装業など)と運んでいるものを、運転ノートに記載
② 運転ノートに、1日で移動した「営業先・作業先・会合先など」を細かく記載
③ 上記②に関するETC料金、1日の走行距離、1ヶ月単位のガソリン代を細かく記載
※ 遠方の出張などで、③の数値がいつもより上がる場合は、その理由や記録を細かく残す
④ プライベートに別の車を持っている、電車を利用していること記録する
※ただし、上記を残したとしても、購入した車の種類、個人の車の使用状況や税務署の判断で認められない場合もあります。
心配な場合は、車を購入する前に、税務署に、事業内容や車の使用目的を相談しましょう。
5)車を事業とプライベートの両方で使用するなら家事関連費として按分
事業用の車とプライベートの車は2台に分ける、プライベートは電車を使用するなど明確に区分することが理想ですが、小規模の個人事業主では、プライベートと共有するケースもあるでしょう。
その場合は、家事関連費(仕事とプライベートで共有する費用)の中で、業務費用の分だけを経費として按分(あんぶん)し、計上することができます。
個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。
(例)交際費、接待費、地代、家賃、水道光熱費
この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。
国税庁ホームページより
購入した車をプライベートで共有する場合は、仕事とプライベートそれぞれの走行距離や目的、行き先などを、より明確かつ詳細に「運転ノート」に記録することが必須です。
それらの記録を元に、1年分の走行距離のうち、事業用とプライベートごとに、それぞれの総走行距離を計算し、その割合で「家事按分(かじあんぶん)」して証明することができます。
6)車の購入代の経費としての計算例・減価償却について
車両の購入代金は、一括で経費にするわけではありません。「減価償却(げんかしょうきゃく)」といって、複数年に分けて経費に計上します。
車両代の場合、軽自動車、普通車、運送用のトラックなど、車種や目的で耐用年数が異なりますが、概ね4〜6年で定められています。まずは、一例をご紹介します(※)。
例: 普通車を新車で購入(耐用年数6年)・プライベートでも使用
●1年間の総走行距離 10,000km
→事業に使用した総走行距離 8,000km (80%)
→プライベートで使用した総走行距離 2,000km (20%)
●車の購入代金 300万円
300万円÷6(国税庁による耐用年数)=50万円(一年あたり)
この割合を元に、車の購入代金、ガソリン代、駐車場代などを一括でまとめて算出し、それぞれの割合で按分します。
50万円(車両代)+30 万円(1年分のガソリン代や駐車場代など)= 80万円(一年分の車関連経費)
↓
80万円 x 事業用の経費80%= 64万円(1年間の車関連の経費)
※減価償却も、毎年決まった額を経費にする「定額法」と残った額に毎月決まった割合を形状する「定率法」があります。ここではよりわかりやすい「定額法」で計算しています。
また、ここでの計算法はあくまで一例です。新車や中古車など車の状態などで耐用年数が異なるなど、計算法はそれぞれの状況などによって細かく異なります。詳細は税務署の相談窓口や税理士に確認しましょう。
▼国税庁 車ごとの耐用年数
https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensusharyo.html
7)運転ノートは面倒だが個人事業主に必須事項
日々の運転ノートの記載は面倒ですが、これにお金はかかりません。
これらの対策をしたとしても、税務署の判断によっては希望がすべて叶うわけではありませんが、何もしないままだと、大きな追加の課税がかかる可能性があります。
車の購入代を経費で落としたいと考えているなら、まずは、日々の対策から始めましょう。次回は、スーツが経費で落とせるのかについて解説します。
【参考資料】
税務署の現状
https://www.nta.go.jp/about/council/shingikai/180124/shiryo/pdf/04-1.pdf
国税庁 やさしい必要経費
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
国税庁 車の減価償却
https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensusharyo.html
国税庁 定額法と定率法について
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2106.htm
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