自営業の方にとって、仕事で使ったお金を経費で落とすことができるのかということは、節税の面で非常に重要になってきます。
節税という面から考えると、自営業の方でも毎月支払っている保険料を経費にできることを知らない方も少なくありません。
そこで今回は、自営業の方が支払っている保険料は経費にすることができるのかという点について解説していきます。
目次
1) 国民健康保険と国民年金の保険料は経費にならない
2) 自営業、任意の保険料は経費になる?
3) 自営業が人を雇った時に加入しなければならない保険
4) 経費と控除、上手く使って節税しよう!
1) 国民健康保険と国民年金の保険料は経費にならない
1)-1 公的な社会保険料は経費にはならない
まずは自営業の方が支払う保険について詳しく見ていきましょう。
自営業の方が、主に毎月支払っているであろう保険は、大きく分けると2つに分類することができます。
それは国や自治体関連が運営する公的な社会保険と、それ以外の保険です。
自営業で仕事を行っている場合、前者の公的な保険である「国民健康保険」と「国民年金」の2つには、原則、必ず加入しなければなりません。
しかしながら、これら2つの毎月の保険料は、残念ですが、自営業の経費には計上できません。
1)-2 社会保険料の控除にはなる!
ただし、これら2つの保険料は確定申告の際に、社会保険料の「控除」の対象になります。
自分の分だけでなく、家族の保険料分も控除の対象になるので、必ず確定申告で申請しましょう。
申請方法は、どちらも「社会保険料控除証明書」といったお知らせが郵送されます。それと共に確定申告をすることで受けられます。
【国民健康保険は自治体から】
<国民健康保険の「社会保険料の控除」に関して>
●住民票がある自治体からハガキで郵送される
●1月〜2月ごろ(前年の1月〜12月までの支払い分)
【国民年金は国民年金機構から】
<国民年金の「社会保険料の控除」に関して>
●日本年金機構からハガキで郵送される
●11月初めごろ (同年の1月〜9月までの支払い分)
●2月初め〜中旬ごろ(前年の10月〜12月30日までの支払い分)
【国民年金基金・介護保険なども郵送される】
この他、国民年金基金や付加年金、介護保険なども支払っている場合、これらも控除の対象になります。11月〜2月にかけて届く団体や自治体からのハガキには必ず目を通しましょう。
2) 自営業、任意の保険料は経費になる?
2)-1 事業に関する保険料なら経費になる
例えば、使用している店舗などの火災や地震などの震災リスクに備えるために、事業用の店舗に関する火災保険や地震保険に加入している場合、これらの保険料は経費になります。
一方で、自宅の火災保険や地震保険料は、経費にはなりません。
【経費になる任意の保険料の例】
●火災保険料(事業用)
●地震保険料(事業用)
●自動車保険料(事業用)
【経費NG!任意の保険料の例】
●生命保険
●火災保険(自宅用)
●地震保険(自宅用)
●自動車保険(自宅用)
【自宅兼事務所の場合は家事按分で一部が経費に!】
自宅兼事務所の場合は、「家事按分(かじあんぶん)」を行い、事業用として使用している分だけを経費として計上することができます。
火災保険や地震保険の場合は、事業用として使用している面積の割合、自動車保険であれば、使用している頻度などで計算します。
税務調査が入った際に、按分の根拠が必ず聞かれるので、常識の範囲内の額に留めるのがポイントです。
●火災保険1万円(年間)の按分例
自宅7:事務所3 = プライベート7,000円:経費3,000円
●自動車保険の7万円(年間)の按分例
プライベート/週末の2日:仕事/平日の5日 = プライベート20,000円:経費50,000円
個人事業主の経費はいくらまで・どこまでOK?家事按分とは?②家事按分を分かりやすく解説
3) 自営業が人を雇った時に加入しなければならない保険
3)-1 従業員の労災保険と雇用保険は法定福利費になる
自営業者が払う社会保険のうち、社員(従業員)に関する「労災保険」の保険料、「雇用保険」の保険料は、経費になります。
労災保険も雇用保険の保険料(事業主負担分)も従業員の分に関しては法定で定められた福利費用「法定福利費」として経費計上しましょう。
4) 経費と控除、上手く使って節税しよう!
細かい保険であってもしっかりと経費に計上することによって、納める税金の額を少なくすることができます。
それは経費にならなくても、控除という形で節税できるので、必ず申請することをおすすめします。
自営業の方にとっては、確定申告でどれだけ税金の額を抑えられるかということは、重要になるので、これを機にしっかりと見直してみましょう。
参考▼
国民年金機構
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/koujo2020.html
政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201112/1.html#section1